【本の紹介】ぼくの人生における最高の小説の第一作。『いなくなれ、群青』
この記事を開いていただけたこと、誠に感謝致します。
突然ですが、小説を紹介させてください。
私の発信力がない関係上、このような形をとるしか方法がないことは大変情けない話しですが、それでも、どうしても心から伝えたいと願う作品があります。
今記事を見てくださっている皆様に興味を持っていただけるかは自信がありませんが、作品への感謝を持って、精一杯書かせていただきます。
よろしくお願いします。
『いなくなれ、群青』(新潮文庫nex)
河野裕 / 著
「青春ミステリ」に分類される、河野裕氏の送る『階段島(かいだんとう)シリーズ』の第一作にあたる作品です。
当書は2014年に出版したものであり、現在までに第五作まで出版されています
【あらすじ】
主人公、七草の暮らす島。そこは階段島と呼ばれている。島の中央には頂上へ続く長い階段があり、その中枢には島唯一の学校が存在する。更に上へ登ったその先には、「魔女」の住む舘があると噂されている
階段島。そこは人口2000人ほどの小さな島であり、みなそこで平穏な日々を送っている。そして、誰ひとりとしてその島を出ることはできない。
どういった経緯でその島に来たのか。それは来る直前の記憶を消されているため誰も知らない。分かっているのは、ここが「捨てられた人の島」だということだけ
11月19日の早朝。海岸を散歩する七草は、かつての友人、『真辺由宇』に再会する。
どうやらつい先程この島に「来た」であろう真辺に、七草はこの島のルールに則り言葉を告げる。
「ここは捨てられた人たちの島だ。この島を出るには、真辺由宇が失くしたものをみつけなければならない」
失くしたものとは一体なんなのか。それを探す彼らを巻き込む様々な事件。その行き着く先にある「真実」とは────。
この物語は どうしようもなく、彼女に出会った時から始まる。
ぼくがこの本を手に取ったきっかけは単純で、「絵が綺麗だったから」でした。cmや極最近の○○大賞受賞などといった前情報なしに、ただ何となく面白そうだったという理由です。
そして読み終わったときの感想がこれでした。
「なんて綺麗な作品なんだろう。」
ミステリとはよく言ったもので、作中の全てがひとつの結末に向かうその様は、伏線なんて半端なものでは言い表せない何かを感じました
青春ミステリとありますが、これは恋愛ものではありません。もっと深い、高校生の登場人物たちの人間性を描いた物語なので、恋愛ものが苦手な方にはもちろん、恋愛ものをよく読む方には新しい感情に出会うきっかけになるかもしれません
少なくともぼく自身は、この本に、主人公の七草に、全く新しい価値観やいつか体験したであろう自分の感情の本質など、たくさんのことに気付かされました。
大袈裟に言えば、ぼくはこの本に救われたと表現することもできるかもしれません。それほどまでにぼくの心に突き刺さる作品でした
どうか、お時間に余裕があるときでも、ふとした気まぐれでも構いません。ぜひ本書を手に取ってみてください。
その感想がおもしろいでも、つまらない、よく分からないなどだとしても、本書を通じて何かを感じ取っていただけたら、この先の人生におけるほんの些細な糧のひとつにでもなってくれたなら、ぼくは本当に幸せです
欲を言うなら、ぜひ本書の続きとなる第二作『その白さえ嘘だとしても』までお読みいただけたら、そしてその感想を一言でもぼくに伝えていただけたらと切に願います