月色少女に魅せられて

ポケモンとSSを書きます

【ようダイルビSS】ノータイトル

よう←ダイルビ

地の文多め。ハッピーエンド(のつもり)です

 

 

それは本当に些細なことだった

曜「……ちゃん?ルビィちゃん?どうかした?」

ルビィ「えっ…あれ、曜ちゃん…?」ハアハア

曜「顔赤いよ?もしかして熱中症かも…ちょっと待っててね!すぐ戻るから!」タタッ

ルビィ「熱中症…」

どうやら部活の休憩中、ルビィは軽い熱中症になってしまったようでした

 

ダイヤ「ルビィ!大丈夫ですの!?」

ルビィ「おねいちゃ…うん、大丈夫…っ」クラッ

ダイヤ「大丈夫じゃないじゃないですか…すぐ保健室に…」

ルビィ「大丈夫!…大丈夫、だから。お姉ちゃんはみんなのところに行ってあげて」

ダイヤ「ルビィ…はぁ。わかりましたわ。こうなると聞かないんですから。曜さん、すみませんが…」

曜「ヨーソロー!任せるであります!」

曜「ルビィちゃん。背中、乗れる?」

ルビィ「ぅゅ…」

 

保健室に向かう途中

曜「今日は一段と暑いもんね。軽いうちに気づけてよかったよ」テクテク

ルビィ「…ごめんね。迷惑かけちゃって」

曜「…うーん。こういうときは『ありがとう』って言ってほしいかな、なんて」エヘヘ

ルビィ「曜ちゃん…うん、ありがとうっ」

そう言って抱きついた曜ちゃんの背中が、優しさが温かく、保健室に着く前に私は眠ってしまっていました

 

 

 

それは本当に些細なことだった

ダイヤ「はぁ、全く。毎度しょうないですわね」

曜「…ダイヤさーん。どうしました?」ヒョコッ

ダイヤ「あら、曜さん。皆さんと一緒に練習に向かわれたのでは?」

曜「うん。なんだけど、最近ダイヤさんって少しだけ遅れて屋上くるじゃない?何してるのかなーって思ってさ」

ダイヤ「ああ…すみません。千歌さんたちがいつも散らかしていくものですから、最近は軽く片してから出ることにしてるのですわ」

曜「あー…それは…すみません」

ダイヤ「曜さんが謝ることではありませんわ。私も好きでやっていることですから。って、曜さん何を?」

曜「何って、お手伝いですよ!2人でやれば早く終わりますし、早くダイヤさんと練習、したいですし!」

ダイヤ「曜さん…ありがとうございます」

 

部室を出て屋上に向かう途中

ダイヤ「ありがとうございました。おかげでいつもより早く練習が出来そうですわ」

曜「いーえーそんな。…こちらこそどうもありがとう」

ダイヤ「ありがとう…?私にですの?」

曜「うん。ダイヤさん、いつも私たちの見てないところでたくさん頑張ってくれててさ。鞠莉ちゃんたちは恥ずかしがるから言わないであげてって言ってるけど、私たち、すごく感謝してるんだよ」

ダイヤ「…そう、でしたの」ポリポリ

曜「あ~!もしかして照れてます~??」ニヤニヤ

ダイヤ「そ、そんなことありませんわ!いきなりそんなこと言われてなんて応えればいいか」

曜「でも」

ダイヤ「え?」

曜「でも、感謝してるのは本当ですよ。少なくとも渡辺曜は、ダイヤさんと会えてよかった。ダイヤさんと過ごす時間がとても楽しいんだってことを伝えたかったのであります」

ダイヤ「曜さん…」

曜「ほら、もうすぐ屋上ですよ!早く行って練習しましょ!」ギュッ  タタッ

ダイヤ「ちょ、曜さん急かさないで下さい!…もう!」

そう言って私の手を引っ張る曜さんの手が、想いがとても温かく、自然と顔が綻んでいくのがわかりました

 

 

 

それは本当に些細なことだった

私は、渡辺曜に恋をした

 

 

 

初めての感情に、私はじっとせずにはいられなかった

ルビィ「お姉ちゃん…あのね。相談があるの」

 

ダイヤ「どうしたんですの、ルビィ。」

だから、あの子の言葉には驚かざるを得なかった

 

 

 

ダイヤ「素敵なことじゃありませんか。お姉ちゃんも協力しますわ。…頑張りなさい、ルビィ」

私は、自分の気持ちに蓋をした

 

ルビィ「お姉ちゃんっ……ありがとう!」

私は、自分の気持ちに素直になった

 

 

 

 

私は、きっと器用で不器用なのだろう。

初めての感情と、初めての失恋に動揺したものの、なんとかこれまで通りの黒澤ダイヤを演じて来れているはずだ。大好きな妹の想いを形あるものにするため、大好きな曜さんと近づけさせてあげようと試行錯誤している。

しかし、私は自分のことになるとてんでダメらしい。自分の気持ちに諦めをつけるため、知らずのうちに曜さんと距離を置いてしまっていた

 

 

迂闊だった

曜「ダイヤさん…!やっと見つけた…」ハァハァ

ダイヤ「曜さん…どうしてここに…」

曜「どうしてって…最近のダイヤさんなんか変だから…って、え……?」

まさか仲の良くなった2人を見ていたら辛くなって逃げてしまった、とは言えず、無言で睨み追い返そうとした

しかし、不情にも瞳は正直だった

ダイヤ「…っ」

曜「ダイヤさん…。お願いです、私に話してください。私、何かしてしまったんでしょうか…」

ダイヤ「……すみません。練習にはすぐに戻りますので、曜さんは先に……っ!?」

曜「話してくれるまで離れませんよ…。もう二度と、あの時みたいな気持ちのすれ違いはしたくないんです…」

ダイヤ「曜さん……。わかりましたわ」

ダイヤ(ルビィ…ごめんなさい)

私は全てを話した。ルビィの事。そして、黒澤ダイヤのことを。

 

 

 

確かに、最近私はルビィちゃんと過ごす時間が多かったように思う。元々衣装係としてよく一緒になってはいたが、それに限った話ではなかった。

一緒に過ごす時間が増えたことで、改めて彼女の強さを知った。ドジっ子なところもあるが、常に彼女の中には芯があった。転んでも、一途に、懸命に何かをする彼女の姿に、今思えば私は惹かれていたのかもしれない。

 

人に好意を向けられたことは初めてではなかった。

もちろんそれ自体はとても嬉しいことだった。しかし恋愛というものに疎い私は、今までそれらには応えられずにいた。もしかしたらその子のことを好きだったのかもしれないが、当時はそれに気づくことも出来なかった。

私はAqoursが大好きだ。当然そこにはルビィちゃんとダイヤさんがいて、みんながいて。それは今でも変わっていない。

私は、どうしたらいいのだろうか

 

 

「ちかっちのとき以来かしら。こうやって曜と二人きりになるのは」

曜「…ごめんね。急に呼び出して」

「気にすることないデース。こうやって抱え込まないでまた相談してくれて嬉しいわ」

曜「それで、なんだけど…その…」

「…2人のことでしょう?私には全部お見通しなのデース!…ま、2人とは付き合い長いから。果南はともかくその他の子は気づいてないと思うわ」

曜「……」

「はぁ…。曜、よく聞いて。何も想いに応えることだけが優しさではないの。むしろ半端な気持ちで応えることは相手に対する侮辱とも言えるわ」

「…ごめんなさい、脅すようなことを言って。あなたは優しい子だから、きっと誰も悲しませたくないのよね。それか、今の関係を壊したくないか」

「…図星みたいね。でもね、曜。あなたがあの子達を、Aqoursを大好きなように、あの子達もまたあなたのことが大好きなのよ。もちろん、ここの好きはlikeの方ね」

「だからね、曜。弱気になっちゃダメよ。大好きな仲間なら信じなきゃ。あなたの言葉を、想いを全部伝えるの。気持ちが繋がっていれば、きっとあの子達に伝わるわ」

曜「………っ」ウツムキ

「もう、泣かないの。」ヨシヨシ

曜「ありがとう…本当に…」

「どういたしまして。」

(頑張るのよ…曜。ダイヤ。ルビィ。)

 

 

 

数日して

ルビィ「曜ちゃん…お話があるの」

曜「ルビィちゃん…」

ルビィ「ルビィね、その…曜ちゃんのことが…」

曜「…ごめん」

ルビィ「えっ……曜、ちゃん…?」

曜「ごめんね…ルビィちゃんの想いに、私は応えられない」

ルビィ「そ……そっか。迷惑、だったよね。ごめんn「違うの!!」

ルビィ「えっ…?」

曜「違うの…ルビィちゃんの想い、私すごく嬉しいんだ。私も…多分そうだったから。でもね、それだけじゃダメなんだ」

ルビィ「曜、ちゃん…?」

曜「…この間、ダイヤさんに問いただしてね。聞いたんだ、ルビィちゃんのこと、それと、ダイヤさんのことを」

ルビィ「そっか、お姉ちゃんに…。え、でも、お姉ちゃんのことって一体…」

私は、話した。ダイヤさんの想いを。彼女が話してくれた全てを、ありのままに

ルビィ「そ、そん…な…おねいちゃ…どうして…」

曜「…」

曜(今の私に、泣いている彼女に掛けてあげられる言葉などあるのだろうか)

曜「ルビィちゃ…「うぅん…違うよね」

ルビィ「泣いてなんかいちゃ、ダメだよね。ありがとう、曜ちゃん。話してくれて」

曜「そんな…私、むしろ…」

ルビィ「ううん、曜ちゃんは何も悪くないよ。曜ちゃんの想い、伝わるから」

曜「ルビィちゃん…」

ルビィ「ありがとう、曜ちゃん。ルビィ、曜ちゃんを好きになって本当によかった」

ルビィ「…一つだけわがまま、言ってもいいかな。ルビィのこと、送り出してほしいんだ。お姉ちゃんのところまで。曜ちゃんの、元気いっぱいのヨーソローで」

曜「…うん。わかった」

 

 

 

 

 

私は不器用だ

弱虫で泣き虫で、一人じゃ何も出来なくて、いつも誰かに助けてもらっている

でも、それも今日でおしまいだ。私は、成長しなくてはならない。私を助けてくれた、想ってくれていた、大切な人達のために

 

 

 

生徒会室

ルビィ「お姉ちゃん!!」ガラッ

ダイヤ「ルビィ…どうしたんですの、騒がしいですわよ」

ルビィ「ごめんなさいお姉ちゃん!!!ルビィ、大好きなお姉ちゃんのことなのに、気付けなかった!ずっと、ずっとお姉ちゃんに…ルビィ…」ダキツキ

ダイヤ「!……曜さんに聞きましたのね。いいんですのよ、私のことなど」ナデナデ

ダイヤ「お返事の方は…いただけましたの?」

ルビィ「うん…フラれちゃった」エヘヘ

ダイヤ「そう…でしたか…。大丈夫です、チャンスはまだいくらでも…」

ルビィ「お姉ちゃん。ルビィね、ずっとお姉ちゃんに助けられてきた。でもね、それももう今日で終わりにしたいの」

ダイヤ「ルビィ…」

ルビィ「ルビィ、お姉ちゃんと並んで歩きたい。お姉ちゃんといっしょに追いかけたいの。夢も、恋愛も…なんて。ダメ、かな…?」

ダイヤ「…姉妹だから好きになる人も似てしまうなんて、神様も理不尽なものですわね」

ルビィ「お姉ちゃん…?」

ダイヤ「いいですわ。その勝負、受けて立ちましょう!相手が妹だからといって私、容赦は致しませんわよ!」

ルビィ「お姉ちゃん…!うん!」

ダイヤ「ふふ…。ありがとう、ルビィ」ギュッ

 

 

 

 

 

曜(これで…よかったのだろうか…)

鞠莉「お疲れさま、曜」テクテク

曜「鞠莉ちゃん…もしかして、ずっと…?」

鞠莉「ええ…心配だったから。でも、どうやら大丈夫そうね」

曜「でも私…」

鞠莉「大丈夫よ、あの子達は強いから。…むしろ、強すぎるくらいかしら?」

曜「どういうこと?」

鞠莉「ま、そのうちわかるかもネ♪」

曜「なにさそれ…あっはははは」

鞠莉「やっぱり曜には笑顔が一番デース!」

 

鞠莉(頑張ってね、3人とも…なんて♪)

 

 

fin